下を向く。
目がかゆいからこするようにして
涙を拭った。
あたし、知らないうちに
俊哉くんに失恋してたんだな。
…………………。
「はぁ。」
とぼとぼ、一人ぼっちで家に帰る。
あーでも、このまま帰れば、
お母さんに泣いたってばれる。
あたしは、近くの公園にいることにした。
………んだけど、
なんでだよ。
なんで、こんなときに
翔太がいるんだろう。
「………っ」
戻ろう!
高校生にもなって、泣いてるとこなんか見られたくない!
バカにされるし!
「待てよ」
サッカーボールをリフティングしながら
翔太は言った。
「な、なに?」
「目が赤い」
気づくな。気づくなって。
「気のせいじゃん?さっき、
目こすったし、かゆくて」
「お前が目の下まで赤いときは、
泣いた証拠なんだ」
ほんっと、女心のわかんない奴。
こうゆうときは、ほっとけっつの。
あ、違うか。
こうゆうとき、気づいてこそ、
いいんかなぁ?

