大嫌いなアンタに惚れるなんて ありえない






「なに?」


「我慢してねぇか?」


「え……?」


「泣きたいなら、泣けよ。

テニスはその後でも、できる。」


「でも……。」


「“でも”なんだよ。」


「……何でもない。」


「あっそ。」


そういった西科は、
私の腕を引っ張って、私を抱き締めた。


「泣きたいなら泣け。」


そういって、頭を優しく撫でてくれる。

私は涙が溢れてきて、しばらく西科の胸のなかで泣いた。

西科は一言も喋らず、ずっと頭を撫でてくれた。