3人は何やら話し出すが、あたしの耳には届かなかった。


あたしは静かに、倉庫に向って歩みを進める。


『雫月』


そう、あなたに名前を呼ばれる。


そのせいで、あたしの歩みは自然と止まってしまう。


『、、、行くのか?』


ここに、あたしの記憶があるんでしょ?


『あぁ』


あなたはそう言って、笑ったような気がした。


あたしは瞳を閉じ、あなたを探す。


、、、出てきてよ。


ボヤッと、あなたの顔が浮んでくる。


それじゃ、わかんないよ。


あなたが誰なのか、わからないよ。