「し、失礼しました!」




危険を感じて私は飛び出した。
「廊下を走るな!」とか言われたけれど必死だったので無視した。

というか、土方さんだって常日頃沖田さんを追いかけているではないか。




自室に戻り、さっそく貰った軟膏を手にのせてのばす。埃をかぶっていたため少し心配だったが、




「これ....値が張る代物だ」




塗ってすぐに気付いた。
一瞬返してこようかという考えが脳裏によぎったが、逆に失礼だと思いやめる。




「ありがたく使わせてもらおう」




壷を軽く撫でたのち、殺風景な部屋にある棚にしまった。

ふと土方さんの気まずそうな顔を思い出す。




「鬼の副長だなんて名ばかりね」




この時、クスクスと笑う私を密かに誰かが見ていたなんて知る由もなかった。