私にとっては当然の答え。
芹沢さんは優しいし考えは面白いし何よりここの甘味を気に入ってくれた。

父親のように慕っている。




だからこそ「好き」だと返したのだが。




状況は悪化するばかりだった。




「........................へえ」




沖田さんは私の答えにしばらく呆けていたかと思えば、妖艶な笑みで見てくる。
実を言うと睨まれるより怖いかもしれない。




「............」




一方、味方だったはずの斎藤さんはそっぽを向いて仏頂面。芹沢さんを好きと言っただけなのにこの反応はなんなのだろうか。




「わ、私変なこと言いました?!」




沖田さんと斎藤さんに交互に視線を送りながら問うが二人は黙ったまま。
いつまでも相手をしてもいられずため息をついてその場を離れた。



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「総司、やはり俺の言った通りだったろう」




「............」




「あの娘は芹沢さんに....」




「違うよ、一くん」




「は?」




伊勢が仕事に戻ったあと沖田は笑いがこみ上げてきた。本当にあの娘には翻弄されてばかりだ。あまりのおかしさに涙までもがにじみ出てくる。




「あの子の考えてる好きと、僕たちの考えてる好きはだいぶ違うみたい

腹立つな〜アハハハハッ」




あきらかに恋い慕っている様子ではないと感じ取った沖田は、どうやら考えさせられたことに腹を立て始めたらしい。

笑みを浮かべながら。




「....ッ?!ならばあの娘は人として芹沢さんのことを好きだと言っているのか?!」




「うん」




それを聞いた斎藤はあからさまに安堵の表情を浮かべた。普段斎藤は仏頂面のほぼ無口、大事なことしか口にしない。

あの娘一人でここまで変わるものかと沖田は目を見張る。




「ハハッ....ほんと腹立つなぁ」




少し伊勢をこらしめてやろうかと沖田は考えこんだ。