「私、そろそろ帰るね?」 「あ、わかった。送ってく。」 西村君はそう言って私の手を握ろうとする。 やめて、奈美さんを触ったその手で触らないでよ。 そして私と西村君の手が触れるか触れないかのところで 「触らないでっ!」 と叫んでいた。 西村君は呆然として私の方を見ている。 あ、やっちゃった…。 完全嫌われたな。これ。 「えっと、あの、送るとか本当にいらないから。じゃあ。」 私はそう言って走り出した。 ーー西村君の静止の声も聞かずに。