「俺って優しいよな。」
「ど、どこがっ!」
「お前のファーストキス、奪わなかったから。あ、それとも、奪われたかった?」
「なわけないでしょっ!」
「わーってるよ。帰るか。」
「…うん。」
おでこだけどキスされたからまだ心臓がドキドキいってる…。
西村君ったら、顔色一つ変えないでさ。
私ばっかりひどい!
そーだ、いいこと考えた!
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家に着いた。
「じゃあな。」
そう言って帰ろうとする西村君。
「あ、待って。」
西村君を引き止めて少し背伸びして、
ーーチュッ
西村君のほっぺにキスしました。
ふふーん、これで西村君も顔が真っ赤なはず。
チラリと西村君を見る。
でも…全然顔が真っ赤じゃなかった。
むしろ、意地悪そうに笑ってる。
「それ、誘ってるの? そんなことされると俺、キスしたくなるんだけど。」
「んなっ! 誘ってないっ!
じゃあね、バイバイ!」
私は急いで家の中に入る。
だから、西村君が
「ったく、可愛すぎるんだよ。あのバカ。」
って言ってるのは知らない。

