ピーンポーン
彩の家につき、インターホンを鳴らす。
「はーい。って、どうしたの⁉︎ 」
彩の母親が俺らをみるなり驚く。
そりゃあそうだ。
自分の娘が真っ赤な顔して、しかも彼氏に抱き上げられて帰ってきたんだから。
「すみません。いろいろありまして…」
そう言って俺が話すと彩の母親はため息をついた。
とくに驚く様子も怒る様子もない。
「ったく、そんなことだろうとは思ったわ。わざわざありがとね。
彩、部屋に行きなさい。」
そう言って彩の母親はまた、ため息をついた。
俺が彩を降ろすと、彩は俺の腕にしがみついて
「いやだ! わたし、きょうはにしむらくんの家に泊まるもん!」
離れない彩。
すると、彩の母親に角が生えた気がした。
「彩っ! いい加減にしなさいっ!
なに? 勝手にお酒飲んで? 西村君に迷惑かけて? しまいには泊まりたい?
ふざけないのっ!」
うわっ、怖っ。
彩の母親、優しそうな顔してて怒るとすげえ怖いんだな。
そう思ってると彩は急にシュンとして、
「ごめんなさい…」
と言った。

