「ちょっと待って!
今日は私が送ってくから。」


迷惑かけたんだしそれくらい当然よね。


「え、わかった。ありがとな。」


「いや、それはこっちのセリフ。

本当ありがと。庇ってくれて。」


「別にそういうのはいいよ。

好きな女を守るのが当たり前なんだから。男はさ。

それに、お前に風邪引いて欲しくないし。」



こ、この人はなんでそんなことをサラッと言えちゃうの?

私、どういう反応すればいいの?

…好きな女とか照れるよ。



「あ、ありがと…」


「どういたしまして。

じゃあ俺の家ここだから。じゃあな。
気をつけて帰れよ。」


「うん、バイバイ。」


そう言って私は西村君に背を向けて歩き出す。

…後ろから西村君の視線を感じる。

チラリと後ろを見ると西村君はジッと私を見ていた。

これって見送ってくれてるんだよね。

なんか嬉しい…。

でも早く家入って着替えて欲しいよ。

そんな私の願いは届かず、
結局西村君は私が角を曲がるまで見送ってくれた。