一週間だけ付き合って


「藤本 彩です。」


「彩ちゃんかあ、可愛い名前!

ってその制服、大和と同じだわ!

ねえ彩ちゃん、西村 大和って知ってる?」


「はい、そりゃ学校一のモテ男ですし。」


「へー、大和ったら学校一のモテ男だったのね。
なんかむかつくー!」


そう言って笑う奈美さん。


奈美さんはいい人だ。
もし私が男だったら惚れていた。絶対。

だから不安。西村君が奈美さんを好きにならないかどうか。


私、奈美さんに勝てる自信ないよ…。


私は唇を強く噛み、俯く。
すると奈美さんは不思議そうに


「彩ちゃん、泣きそうな顔してる。
どうしたの?」


「どうもしてません!

では、私、宿題多いので! じゃあ!」



そう言って走り出す私。



宿題多いなんて嘘。
これ以上奈美さんと一緒にいたくなかった。

こんな女子力の高い女の人に勝てない。

そう思っていると涙が出そうになった。

だから逃げた。嘘ついて。


奈美さんは何か言いたげだったけど気づかないふりをした。