日本暗殺

誰一人として他を気にする者はいない


皆の視線が、希里斗一人に向けられていた


普通なら、ここで誰かが「救急車!」と叫んでも決しておかしくはない


でもここで、この場所で、それは不可能だと誰もが理解しているのだろう


「希里斗!」


自然と涙が溢れていた


「どうする?!」


誰かの声が聞こえた


「どうするって?!助けてよ!呼んでよ救急車?お願いだから…」


涙と共に湧き出てくる感情に声をあらげる


答える者は誰一人いない


「私が呼ぶ!」



携帯を取り出した私の手を制したのは、そっと伸びてきた眼前にいる希里斗の、左手だった