「――大丈夫か?」 希里斗が言った 聞き流せるほど小さな声で 悲しみとは程遠かった、希里斗の優しさ この時の気遣いほど、助けにならないと感じたことはなかった 私がもし、助けがほしいと望んでも、救いがほしいと願っても、この時私は独りだった 誰が、何が正しいかもわからない 何が悪いかもわからない 希里斗達が貫き通す信念に、強い希望に、私は愛を持ってついていくだけ 愛だけを頼りに、ついていくだけ 「――大丈夫だよ?」 私は小さく、多分力なく、微笑んだ