静寂
柔らかな明かり
希里斗と二人、残された部屋の中
男の最後の言葉が、私の心に寄生虫のようにこびりついて離れない
“容赦はしない”
実行を早めるということか
あるいは、私本人に手を加えるということか
何の意味も成さない後者である可能性は低いだろう
だとすれば…
混乱を極めた中で、それ以上の思考はほぼ皆無
ただ、この時私が悩んでいたのは他の誰かに言うべきか否かではなかった
止められると思ったからか
あるいはどこかで共感を覚えたからか
自分はどうすべきなのかを、どうしたらいいのかを、考えていた
考える行為に、逃げていた

