「今は無理でも、きっといつか、わかる日が来るさ」
隣でそう言った希里斗
こんなにも近くにいるのに、すぐ隣でそう言っただけなのに、急に希里斗が遠い存在になっていく
「だからその何かを、あなた達がやろうってこと?あなた達は何者?何をしようとしているの?」
急に言葉が湧き出てきた
不思議なほどすらすらと
「――簡単に言えばそうさ。何者って訳でもない。見ての通り、皆が25、6の若者さ。もちろん、希里斗以外はね」
答えたのは先程と同じ男
「――怖いよ。そんなこと…そんなこと強盗とか誘拐とか、そんなのと何も変わらないんじゃないの?」
瞼の裏が熱くなり、だんだんと視界が霞んでいく
「それは違う。俺達は何も要求しない。そしてもちろん、交渉もしない」

