日本暗殺

「真実を知ろうとしないからだ」


私の返答がないことで、その男はそう続けた


もはや理解不能、意味不明である



困惑する以外、私に道はなかった


「ただ生きて、価値観下げただけの幸せを、幸せであると信じこみ、やがてくる死を待つ。今の人々が求めているのは真実ではない。娯楽なんだ」


視線の先はずっと私をとらえたまま、男は続ける


「そのことに気付き、娯楽すら見つけられなくなった人間が死を選ぶ。自分に生きてる価値はないと。…でも決してそんなことはないんだ。すべての存在には必ず何かの意味がある」


語尾を強めた男の言葉が部屋に響く


「娯楽を求め、楽しいから、幸せだからそれでいいと今を生きる。悲劇に泣いて、でもどこかでは、他人の悲劇を好み、生きる

醜いんだよね
誰かが何かをおこさない限り、それも変わらない」


隣にいた別の男が、代弁するようにそう言った