日本暗殺

「悪かった。質問を変えよう」


ありがたい

そう思った


この男の笑顔に不安はあるものの、今すぐ何かされることはないだろう


そう思い込むことで、心の動揺が落ち着き始めていたのも事実


「今この国で、例えばこの10年間。自殺した人達が何人いるかを知ってるか?」


私はその答えを、テレビのニュースで言っていたのを思い出す


「――確か…30万人…」


間をおいて、呟くように答えた


「そうだ。優里奈はその理由を、何故だと思う?」


そんなこと、考えたこともなかった


この世が嫌になったから?


例えそう答えたとしても、この男は間違いなくこう問いてくるだろう


“何故嫌になったのか”と


考える素振りは見せたものの、答えられず、私は黙った