しばらく黙した後に、思い出したように笑顔を戻して男は言った
「わかった。まずは話そう」
この時ばかりはこの男の笑顔に、不安を覚えた
「君はこの世界を。今の世をどう思う?」
「…」
「…」
「―え?」
私が浮かべた困惑の表情は、誰もがそれと見てとれただろう
そんな突然の問いかけに、すらすらと答えられるできた高校三年生はそうはいないだろう
残念ながら私は、少なくともその“できた”部類には入らない
男、と表現するのはそもそもおかしいのかもしれない
この場に集ってる男達は皆、若い
でも私はこの人達の名前すら知らない
答えられないでいる私を察してか、その男は言った

