「まぁ、座りなよ?」
テーブルを囲むようにして腰掛けていた男のうちの一人が言った
決して棘はなかったが、低く、鋭い声だった
希里斗にも即され、私達は二人並んで席につく
「希里斗の彼女だ!みんな変なこと考えるなよ?」
「バーカ。そんなこと考えてるのはお前ぐらいだよ」
和やかなムードは変わらない
隣にいる希里斗が、他の男達が、つくりだしてくれる優しく穏やかな空気は、その時初めてこの場所にいた私をも、優しいまま包みこんでくれた
それはまた、私がここに来た目的を、ここに来た意味を、忘れさせてくれるほどでもあった
でも
先程笑顔でよろしくと言った男の次の言葉が、私を現実へと引き戻す

