日本暗殺

「ごめん、遅くなった」


開けた扉を手に希里斗が部屋の中へ、その言葉を投げ掛ける


私はまだ、中を覗く勇気が出ないまま、部屋の外で立ち尽くしていた



「連れてきたのか?」


中から男の声がした


希里斗はそれには答えず、私に振り返ってこう言った


「ごめんな優里奈。お前はここを知ってしまった。そしてまた来てしまった。これ以上、このまま放っておくことは俺達には不安だったんだ」


優しい響きは残したまま、希里斗は続ける


「さ、入って?」


背中を伝う一筋の汗を感じながら、私は小さく一つ息をはき、中へと足を踏み入れた