日本暗殺

闇に浮かぶ希里斗の背中が、微塵の迷いも見せないことに、私はこの時初めて、躊躇いを覚える


信じた正義と報復への渇望に、重なって知らされた余命をもさらなる力へと変えたかのように

決して沈んではいなかった


少なくとも私はこの時、そう感じた




でもそれでも、ここに来るべきではなかったのではと思う反面、私の心の一部分が確たる裏付けを欲していたのも事実


希里斗達の真意


希里斗達の真相


そして、多少なりとも秘密が明らかになった時、私はどうすべきなのだろうと



ただ愛しいと、ただ共にいたいと願う想いで足を踏み入れたこの場所



招かれざる客であることも明らかだ


落ち着きはらったまま淡々と歩を進める希里斗の背中に、迷いやとまどいというものは何一つ、感じとることはできなかった