「いや、何でもない」 当然、何でもないはずはない なんだろう… 不安は募る ふいに私は、希里斗の言葉を思い出す “俺には、時間がない” その理由こそ知りたかった 時間だったらあるはずだ 何も今でなくたっていい 今でなくてはならない理由 言いかけて途切れた希里斗の言葉のその先にこそ、その理由があったのでは? 直感、というよりも確信があった 「言ってよ?時間がないって言ってた、あのことでしょ?」 重たい空気が静寂を呼び、そして沈黙に変わる