「――いい歌だ…―」 希里斗が呟く 「本当、いい歌だよね…――」 答えるように、私も呟く 暫くの沈黙があった そっと吹き抜けていった風と共に、歌は確実に、私達二人の心を撫で、癒してくれた 歌は心を癒してくれる いつの時代も、その事実だけは変わらずに、人々の心にあったのだろう どんなに辛く、苦しい現実の中にいても、歌だけはいつだって優しいままなのだ だからこそ、私達は聞き入る そして口づさむ