私は帰ろうと、
鞄とキャップを手に取った時だった

一週間ほど前に入った
雑用バイトの女の子二人の話声が聞こえてきた




「雅ちゃんの歌ってそんなに好きじゃない」

「え、どうして?私好きだけど」

「気持ちがこもってない的なー。」





初めて自分の耳で聞いたアンチだった
私は思わず立ち止まって
頭にいろいろかけ巡った



歌に気持ちを込めるなんて
考えたことがなかった

がむしゃらに夢を掴み取るのに必死で
周りは何も見えてなかった