「じゃぁ瞬先輩、…何の用ですか?」


だいたいは予想がつく。


月下風也と関係があるやつ=日向のことしかない。


そんな方程式を頭の中で思い浮かべる。


「あぁ!そうそう。」


瞬先輩が思い出したように手を叩いた。


「日向ちゃん、風也と弁当食べてるからここには来ないよ」


…ふーん。


「…やっぱり」


俺はぽつりと呟いた。


結局彼氏かよ。絶対遊ばれて捨てられるだけなのに。

「日向ちゃん、大好きなんだね?」


気づいたら瞬先輩が俺の顔をのぞきこむようにして立っていた。


「別に。あいつが来ても来なくても俺には関係ねーし。…あと日向ちゃんって呼ぶな」


最後の部分は聞こえるか聞こえないかぐらい小さな声でいい放ち、俺は席をたった。


瞬先輩の顔を見ずに。


弁当食べる気なくなった。

そのまま学食を出ようとしていると。


「明日は俺も屋上で食べるからさ、太陽君もおいでよ」


後ろから瞬先輩の声が聞こえてきた。


でも俺はそれに答えずに、そのまま学食を出た。


「…面白そうだし」


そう瞬先輩がニヤニヤしながら、呟いたことにも気づかずに。