「嘘じゃないよ?いつもの風也は風也であって風也じゃない。さっきの風也が本当の風也」


いつもの風也君は風也であって風也じゃない?


なんのこっちゃ。


あ、でも待って?


今の瞬君の話からすると、いつもの風也君=優しい。さっきの風也君=ヤクザみたい、ってこと?


んで、さっきの風也君が本当の風也君ってことはー…

つ…つまり、いつもの風也君は作り物で、本当の風也君はー…ヤクザってこと!?!?


「ぶー。惜しいけど外れ」

瞬君がぶーと人差し指でバッテンを作った。


…また声が漏れていたのだろうか。


「ヤクザて日向ちゃんねww違うよ、風也はー…「瞬、いいよ。俺が言う」」


瞬君の声と重なるように、今まで黙っていた風也君が口を開いた。


「いつもの俺は、猫かぶってるってこと。優等生の“ふり”をしてるだけ。本当の俺は、ー…さっきもお前が聞いてた通り。口も悪いし性格も悪い」


淡々と言葉を続ける風也君。


いつの間にか、空気を読んだのか勝手にどこかに行ってしまった瞬君。


あの人でも一応空気は読めるんだ…なんて感心しつつ、私は黙って風也君の話を聞いた。


「俺は優しくて完璧な優等生でなくちゃいけないんだよ。これからも」


でもさ、でもそれってさ。

「風也君が辛くない?」