「はぁ…」


俺は教室に入るなりため息をついた。


何でかって?


それはー…


「おーおー。お疲れモードだねぇ?風也くん?」


全部てめえのせいだろうがバカ瞬め。




ー…事の発端は今日の朝。

俺が学校にの校門を通過したことから始まる。


何十人の女子の軍団が一斉に押し寄せてきた。


俺の頭はパニック状態。


そんな中、一人の女が言った。


化粧が濃い、気の強そうな奴だ。怒らせるとめんどくさそうな。


『宮本日向と付き合ってるって本当なの!?』


一人、また一人とその女の後に続いて『本当!?』『答えてください!』なんて言ってくる。


早っ!?何でもうばれてんの!?


俺が宮本日向に告白して付き合ったのが昨日。


女子の情報網の速さは光の速さと同じくらい早いと言うが、それにしたって早すぎる。


俺は犯罪者でお前らは記者か何かですか?って思わずツッコミたくなるほどめちゃくちゃに攻められている俺。


女子って集団になるとこんなんなんのか。


もしかして…テレビとかでよく見るあの女子が大勢で一人をいじめるやつ。


あれもこんな迫力なのか?いや、もっと怖いのか?


そう思うと、俺は男で良かった、って心の底からそう思った。


その迫力に、ドン引きしつつも一応愛想笑いを浮かべる俺。


めっちゃえらくねぇ??


自分に栄誉を称えてノーベル賞をあげたいくらいだぞ。


「うん…実は昨日から付き合ってるんだ」


『『『えーーっっ!?!?』』』


その瞬間巻き起こる女子たちの悲嘆の声。


校門からは次々と他の生徒たちが入ってきて、何事かとこっちを見ながら通りすぎていく。


見せ物じゃねぇぞ。


そう言って睨み付けたかったが、そういうわけにもいかない。


そっからはうまく覚えていない。


適当に相づちを打っていただけかもしれないし、


愛想笑いで誤魔化した気もする。


とにかく、教室に来るだけでも、悪戦苦闘だった。