「ぅ…」


一方押された日向はバランスを崩し尻餅をついた。


瞳には大粒の涙がたまっていて、それを隠すかのように地面に向かってうつむいている。


駆け寄るべきか?


まさに、そう思った直後。

すくっと立ち上がった日向と目があった。


ー…てっきり泣いてると思ったのに。


日向は一瞬目を大きく見開かせ、でもすぐにいつもの優しい笑顔を見せ、俺の側へ駆け寄ってきた。


「帰ろっか!」って。


いつものように俺の手を自分の手に絡ませて、「恋人繋ぎー♪」って冗談っぽく笑ってみせた。


泣きたいんじゃないのかよ?


友達と放課後遊べないのとかだって俺の世話があるからだろ?


…本当は皆と一緒に遊びたいくせに。


だけどそんなこと聞けなくて。


その代わり、その時決めたんだ。


何があっても日向を守るって。


誰かに心配かけないように仕方なく笑う笑顔をさせないようにしようって。


そう決めたんだ。