それは俺が幼稚園の年長のときだったから、日向が小学校一年生だったときのこと。


その頃から両親は共働きで、家を空けることが多かった。


だから必然的に家事とか家のことは全部日向の役目で。


俺の幼稚園の送り迎えも、小学校が始まる前と終わった後に日向が来てくれていた。


周りの奴らは母親と手を繋いだり、迎えに来てもらって一緒に帰ったりしてたけど。


日向はいつも。


息を切らして走って来てくれるから、ちっとも寂しくなかった。


「ごめんねっ待った?」


って。


俺が首を振るとたちまち笑顔になって「帰ろっか!」って手を優しく握ってくれるから。


俺はそんな日向の笑顔が大好きで。


他のやつらみたいに親が迎えに来なくても、そんなの全然良かった。