テンポ 第一話

ようやく運んだが、良くんの腕が、私に絡まったままで、離れないことに気がついた。

「天楽くーん!助けてー!!」

助けを呼ぶと、天楽くんはすぐに来てくれたが、助けようとはしてくれない。

それどころか…

「良、今のままで落ち着いてるみたいだから、そのままいてやって。」

ときた。私の表情が面白かったのか、天楽くんは笑いながら、

「もう、夜も遅いし、寝なよ。おやすみ。」

と言って、自分の部屋に帰ってしまった。