「痛っ!」

そう思って振り返ると、落ちてきた、否、倒れかかってきたのは、良くんだった。

「だ、大丈夫!?」

「ごめん…ちょっと、落ち着くまで休まして」

どうやら、体が弱いらしい。気が付くと二志くんは、何処かに消えている。というより、周りに誰もいない。

「先生、呼ぼうか?」

一応、良くんに聞いてみた。

「先生までとはいかなくていいから、どこかの教室に連れて行ってや。で、寝かせて。今、すっごいキツイから。」

良くんの身長は私と同じくらい。で、人並み外れた(女子では)力の私なら問題は無かった。
ひょいと良くんをお姫様抱っこし、部員が帰ってしまった音楽室へ向かう。

案の定、音楽室には、上条先生以外、誰もいなかった。