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ジリリリリ...

朝起きて、今日の夢を思い出した。



「なんで...Hiro…??」


いや、別に嫌いじゃない。

ただ、特別に好きかと問われたら答えはNOだ。



私は、思い返した。

あの方向に歩いていったっていうことは...。

...ダメだ、わからない。



そもそも夢なんだから街が正しく再現されていたとは思えない。



考える術を無くした私は、タオルケットを放り投げてベッドから降りた。





母は起きて来ていない。


駅までは徒歩3分で、そこからは電車だから母の力を借りる必要などない訳だけど。


朝ご飯を適当に食べて身だしなみを整え、制服に着替えて外を出た。



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学校に着くと、沙織が満面の笑みで私の所に寄ってきた。


「ねぇ、香奈」


「ん、どうした?」

その笑みに嫌な予感を感じながら聞くと、沙織はさらに口角をあげて答えた。


「機材も揃ったし歌ってみたやってみたいんだけど、

放課後わたしの家で録音を手伝って欲しいんだけど...」


沙織は可愛い顔で私の表情を窺う。

文句なしに可愛い。

これは断れる訳がない。


「まぁ...いいよ」

「ほんと!? やった!!!」


可愛いって得だ。

くそう。




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一日だって早く終わるもので、終礼が終わると私は沙織の家に向かっていた。


「お邪魔します...??」

「汚いし狭いけど...ゆっくりしていってよ」



沙織の家は、広く温かい雰囲気の家だった。





「~♪」


録音を始めると、沙織は真剣な表情でパソコンの画面を見つめる。




「これでいいのかな...??」


恐らく他の有名な歌い手がやっていることは、抜けなくすべての工程を終了したと言える。

投稿を終えて、私は言った。


「うん、いいんじゃないの」


特別な魅力を感じる訳ではないけれど。