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「わたし、歌い手(※ニコニコ動画の「歌ってみた」投稿者)になりたいの!!!」
友人、沙織が聞き飽きた台詞を口にした。
「そうなんだ...」
適当に相づちを打つと、沙織は何も聞かなくても語り出す。
「歌い手になって人気が出たら、
わたしの大好きな大好きなYu-maとも仲良くなれるでしょ??」
動機が不純すぎるだろう友人よ。
第一、このニコニコ動画ブームで歌い手なんて腐るほど居る。
平凡な沙織にはそこで人気を得るほどの
アイデアも情熱もなさそうだと私は思った。
もちろん、私にも。
さも<わたしって天才!!>という得意顔を浮かべる沙織に言った。
「投稿したら絶対見るね」
この台詞も言い飽きたんだけどな。
「うん!! 絶対だよ!!」
沙織は呑気そうに笑った。
私は、この高校生活において沙織は友達だと思ってはいるけれど、
別に高校を卒業したら特別仲良くしようとは思っていない。
私は確かに「歌ってみた」から人気を出して
一躍人気アーティストグループとなった__スプラウトのファンではあるけれど、
一番好きなのはYu-maではない。
特に好きというわけではないのに、イベントに付き合わされている以上、
万年金欠の女子高校生にはいちばん好きなメンバー__Keiに好きなだけお金を使うのは不可能だった。
私は<Kei>という歌い手が好きなのであって、
<Kei>のプライベートにまで興味はなかった。
だから歌い手になって知り合いたいとも思わない。
第一Keiはひと昔に男女関係の騒動があった。
そんな人間のプライベートに巻き込まれるのは御免だし、
私は歌い手に対するイメージを壊したくない。
どうせKeiのプライベートなんて女も金も好き放題だろうし、
そんなのは分かった上でわたしは<Kei>という歌い手の面が好きなのだ。
沙織とは<好き>の意味が全く違っている。
そう思っていた高校1年生の夏だった。
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「わたし、歌い手(※ニコニコ動画の「歌ってみた」投稿者)になりたいの!!!」
友人、沙織が聞き飽きた台詞を口にした。
「そうなんだ...」
適当に相づちを打つと、沙織は何も聞かなくても語り出す。
「歌い手になって人気が出たら、
わたしの大好きな大好きなYu-maとも仲良くなれるでしょ??」
動機が不純すぎるだろう友人よ。
第一、このニコニコ動画ブームで歌い手なんて腐るほど居る。
平凡な沙織にはそこで人気を得るほどの
アイデアも情熱もなさそうだと私は思った。
もちろん、私にも。
さも<わたしって天才!!>という得意顔を浮かべる沙織に言った。
「投稿したら絶対見るね」
この台詞も言い飽きたんだけどな。
「うん!! 絶対だよ!!」
沙織は呑気そうに笑った。
私は、この高校生活において沙織は友達だと思ってはいるけれど、
別に高校を卒業したら特別仲良くしようとは思っていない。
私は確かに「歌ってみた」から人気を出して
一躍人気アーティストグループとなった__スプラウトのファンではあるけれど、
一番好きなのはYu-maではない。
特に好きというわけではないのに、イベントに付き合わされている以上、
万年金欠の女子高校生にはいちばん好きなメンバー__Keiに好きなだけお金を使うのは不可能だった。
私は<Kei>という歌い手が好きなのであって、
<Kei>のプライベートにまで興味はなかった。
だから歌い手になって知り合いたいとも思わない。
第一Keiはひと昔に男女関係の騒動があった。
そんな人間のプライベートに巻き込まれるのは御免だし、
私は歌い手に対するイメージを壊したくない。
どうせKeiのプライベートなんて女も金も好き放題だろうし、
そんなのは分かった上でわたしは<Kei>という歌い手の面が好きなのだ。
沙織とは<好き>の意味が全く違っている。
そう思っていた高校1年生の夏だった。
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