いや、いいの。
そんな事気にしない。

今回は私が一枚上手だったって事なんだから。
私の勝利なんだから。


「ありがとうございました」

お客様を外まで見送り、時計が19時を回ったことを確認。


よし、今日も1日終わり!
扉の立て札をCLOSEに変えて閉店作業に入る私。

何も言ってこない悪魔。
何もしてこない悪魔。


店内に流れる音楽を止めると、一気に店の中が静まり返る。

何だろう、この嫌な空気は。

黙々と作業する私を見つめる悪魔。
私はその視線に気付きながらも顔は上げない。

と、いうより上げられない。


もう既に、やらなきゃよかったと後悔しつつショーウィンドウのケーキを片付ける。



「終わった?」
「....へ?」

後ろから聞こえる声に背筋が凍った。

振り返ると悪魔。
それも極上の笑顔。

後退りしたいっていうか今すぐ逃げ出したいけど後ろはショーケース。


「えっ、と」
「何ビビってんだよ、お前が仕掛けたんだろ?」

そうでしたっけ?
こうなったら、とぼけるしかないか?

「てへ」

舌を出してコツンと自分の頭を叩く。


全然キャラじゃないけど、これがもはや最終手段。