時よ止まれと強く願えば願うほど時間ははやく過ぎて行く。
神様の意地悪。
壁にかかる鳩時計の針は17時を回っている。
もうこの時間帯から来るお客さんは少ない。特に平日は。
だから1人で大丈夫なのに。
1人で...
____カランコロン
「お疲れ、春子ちゃん」
夕方だというのに、乱れた様子も疲れた様子も見せず、相変わらず爽やかに登場した悪魔。
「お疲れ様です」
でたな悪魔め。
今日は絶対こいつの思い通りにはならないから。
「恭ちゃーん!ごめんねー?」
店の奥から、いつもにまして強烈な店長がでてきた。
ちょっと、いや、すごく気合い入ってるみたい。
「気合い入ってんじゃん」
この悪魔も私と同じ事を思ってたらしい。
山本さんはいつも通り、ガタイが良いのにそれが際立つようなシャツを着ている。
心なしか2人ともウキウキしてて何か楽しそう。
「じゃー、よろしくね!」
「春子、恭平には気をつけろよー」
そう思うなら二人きりにしないでよ山本さん。
店を出る2人を恨めしく思いながら黙って見送る。
同窓会か。
私には縁の無い言葉だ。
「いつまで突っ立ってんだよ、仕事しろ」
うるせー悪魔!
