穴があるなら入りたい。

顔から火をふきそうなほど恥ずかしい思いしたのなんて、いつぶり?



「ふはっ、可愛い」
「馬鹿にしてんでしょ」
「全然?」

なんでこの人は、顔色一つ変えないでこういう事が言えるんだろう。
こっぱずかしいことをよくもツラツラと。

この遊び人め。


時計の音もない静寂な部屋に、いつまでこの状態で居なければいけないのか。


「どいてよ、帰る」
「ん。送る」

私の腕を引っ張り体を起こすと、何事もなかったかのように車のキーを持って玄関へ向かう。

本当、何考えてんの、この人。


「春子」
「なに」
「ありがとな」

なんだ、いきなり。
...小春だし。

別にいいけど。