「罰ゲーム」
「は?」
私の言葉も視線も聞いて無かったかのようにスルーされ、こいつには何しても無駄だと悟った。
会話にならない。全然人の話聞いてないし、この人。
相変わらず楽しそうに意地悪な笑顔を向ける悪魔に舌打ちしそうになる。
「さっき、運転して下さいって、敬語使ったでしょ」
「は?!」
意味が分からないまま眉をしかめると、クスリと笑って奴が私の耳元に顔を近づけた。
えっ、えっ、
突然の事に心臓が太鼓になったかのように激しく鳴ってる。
なに、考えてんのこの人。
「...呼んでみ?」
「え?」
「ミツが俺の事呼ぶみたいに、名前。呼んでみ?」
耳元で囁かれる声に全身が麻痺したみたいに動かなくなる。
ミツ?
店長?
パニック寸前の脳みそを冷静に動かして店長を思い出す。
名前?呼び方?
恭、ちゃん?
だっけ。
