はぁ、と呆れたように溜息をついたのが聞こえる。

「俺、一応男な。分かってる?」

男?

鬼でしょ。
悪魔でしょ。

「あんたあたしを女として見れんの?ロリコン」
「ロリコンって程、歳変わんねーだろ」


今気付いた。

多分私達って、相性最悪なんじゃない?永遠に終わらない言い合い出来る自信がある。

「寝たら襲うよ?春子チャン」
「あっそう。店長に言う」


朝っぱらからつまんないジョーク。男ってそれしか考えらんないの?
汚い。変態クソ悪魔。

はぁ。本当に最悪。帰りたい。


「可愛いくねえな」
「......っ」

強い力で肩を押され仰向けになる。

いつの間にか現れた悪魔が私の顔の横に手をつき、楽しそうに私を見下ろしていた。

「なに、」
「可愛いのは顔だけか」
「褒めてるの?ありがとう」
「憎まれ口しか言えねえの?」
「あなたもね」

身をよじっても、男に力では敵わないって分かってる。
でも、弱いところを見せたら付け込まれる。

だから本心では動揺しててもそれを顔に出しちゃいけないんだ。
男には。心の隙を見せちゃいけない。


「帰る。そこ、どいて」


顔色を変えないまま、奴を冷たく睨みつけた。
軽蔑するかのような、冷たい眼差しで。