後を追って車を降りると、予想してたよりだいぶ立派なマンションが目の前にあった。

私が住んでるアパートより遥かにでかい。


ムカツク。


「早くしろよ、春子」

指図すんなクソイケメン。

奴の居る車の後ろに立つと、トランクには無数の段ボールが積まれていた。
嫌な予感しかしない。

「これ、全部運ぶから」

でしょうね。
私、引越しセンターの人間じゃないんですけどね。

「はい、まずこれね」
「えっ」

ズシンと重い段ボールを容赦無く押し付けられ、クソイケメンがついに悪魔にしか見えなくなった。

鬼だこいつ。
かよわい女子にこんな重たい荷物持たせるなんて。

「置いてくぞ」


スタスタ先を歩くクソイケメン悪魔に必死についていく。



鬼ー!






そこから私は、今まで生きてきた中で1番の重労働をさせられ、明日筋肉痛になるのは間違い無しだった。

そしてこの数時間のうちに、私の嫌いな人物リストに早川恭平の名前が刻まれた。