王子さまは、かなしい顔をした。 「わが国は、金もあり、銀もあり、美しい服もあり、食べ物だってこまらない。なのに年々自分の命をすてる人々が増えるばかり。おしえてくれ、そなたらはどうして幸せなのだ」 恋人たちは、王子さまの言葉にただ、顔を見合わせるばかり。 「わたしたちにはわかりません。幸せということさえも、あまりわからないのです」