『……無理だよ。私の病気は治らないんだ。……私の病気は、まだ治療薬も出てない、原因も分からない、症状も分からない……。だから、私は無理だよ……』
『……だからあの日、死のうとしてたの?』
『……え?』
『え?じゃなくて、この前私が初めて声をかけた時、加菜ちゃん屋上に行こうとしてたよね?!
なんでそんなことするの?!
治らないって決まったわけじゃないじゃん!!
私は生きようとしてるのに、なんで加菜ちゃんは死のうとするの?
……まだ生きられるんだよ?!
生きたくても生きられない人もいるのに……!
私より年上なのに、そんなこともわからないの?!』
奈月ちゃんが声を荒げた。
『生きたくても、生きられない人だって……いる、のに……!!』
後から聞いた話なのだが、一週間ほど前に奈月ちゃんは同じ病室の友達を亡くしたらしい。
私に声を荒げる奈月ちゃんは、誰よりも強く、立派で……
私なんかよりよっぽど大人だった。


