『ねぇ、加菜ちゃんって何歳なのー?』
私はこの日、奈月ちゃんの車椅子を押しながら中庭を散歩していた。
『14歳だよ。奈月ちゃんは?』
『私は10歳!!』
『加菜ちゃん、14歳ならお兄ちゃんと同い年だねぇ!!』
『お兄ちゃん?奈月ちゃん、お兄ちゃんいるの?』
『うん!森本 春っていうの!!私のことを大事にしてくれる、自慢のお兄ちゃんなんだー!!』
奈月ちゃんは、ニコニコと嬉しそうに春のことを話してくれた。
『私が病気だって分かった時もね、泣いてくれたんだよ。
でね、その時、お兄ちゃんが悲しい思いしない様に、笑おうって思ったの!!
ずっと笑っててね、その後に治ったら、みんな嬉しいじゃん!!
だからね、私は死ぬわけにはいかないんだ。
私はね、絶対に治して、もう一回みんなで笑うんだ。
……その時は加菜ちゃんも一緒にだよ?』


