それは、私がここに転校してくるよりずっと昔。
病気が見つかってすぐのこと。
その日、私は病院の中庭にいた。
検査のために訪れた病院。
結局、前よりも悪化していると言われ、入院することになった。
今だからこそ、良いように捉えられたり前向きになれたりするけど、その頃は絶望的だった。
まさか自分が病気になるとか思ってなかったから。
不治の病だなんてなおさらのこと。
死を感じることが、こんなに恐ろしいなんて思ってなかった。
『……病気だなんて、情けない。こんな風になるぐらいだったらいっそのこと……』
私は空を見上げる。
私の心には厚い雲がかかって雨まで降っているのに、その空は雲ひとつない、綺麗に青く澄んだ空だった。


