「ハァッハァッ……加菜ちゃん酷いよ!」
とか春が言っているが、この際無視だ。
なんてったって、咲夜が走っているのだから。
「咲夜速いっ咲夜速いー!!
今、5、6組と一周の差が出来たー!!
2番手は4組!走者は隼人!!森隼人だー!!
隼人と咲夜の差はぐんぐん開く!
隼人ーっ!!がんばれーっ!!!!咲夜、少しぐらいスピード落としてっ!!」
放送席は、スタートとは反対側にある。
咲夜がドンドン近づいてきた。
背後に隼人を連れて。
「咲夜っスピード落としてよ。4組が勝てない!」
「それはごめんだな。あ。加菜……」
咲夜がちょいちょいと手を振る。
私が近づくと、彼は耳に口を近づけて……
「……ヒソヒソヒソヒソ」


