「春はいつも転けちゃうの?」
私は、尚真の言葉を思い出して聞いてみた。
すると、響也がコクコクと首を大きく縦に振った。
「……まじか……」
「え、ちょっ!僕、今年は転けないよ?!」
と、春が慌てて反論した。
「それ、毎年言ってるって知ってますか?」
「で、毎年転けてるじゃねーか」
が、咲夜と尚真によって打ちのめされていた。
「……えっと、頑張れ!転けずに走って、勝って、みんなを見返してやろう。ね?」
慌てて言ったフォロー。
でも、勝つのは期待しないほうがいいな。
今年も転けるだろうし。
「っうん!!」
素直に嬉しそうに笑う春に、少し罪悪感を感じた。
──ごめん春。きっと今年も無理だよ。
私は心の中で謝った。


