──私がそのことに気がついたのは、3月だった。 用事があって、学校に来ていたこの日。 廊下でこんな会話が聞こえたのだ。 「山中もよく耐えられるよなぁ。俺、ぜってぇ無理だわ」 「でも金だからなぁ。俺は山中サイテーだと思うわ。」 意味がわからなかった。 耐える……? なにを耐えるの? 何か耐えなければならないことがあるの? 金……? 加菜が、サイテー? 全く意味がわからなかった。 なにひとつと理解できなかった。 たったひとつ分かったことは、 加菜が私に嘘をついていたということ。