「…え?」
声のした方を振り向くと
二重のぱっちりした目 だけど
どこか 冷めて クールな 男の人が
あたしを 見下ろしていた。
その目と 目があった瞬間
心臓が 高鳴ったのは 気のせい…?
「おい、大丈夫か って聞いてんだけど」
「っえ?あ!
はい!大丈夫…です!
ありがとう…ございます…?」
「…ん」
その人は それだけ言うと
立ち去った。
えっと…え?
一瞬の出来事に あたしは 目をぱちくりさせる。
だけど、 胸が ドキドキしてるのは
はっきりわかっていて。
低くて甘い声、
大きい瞳、
きれいな 黒髪、
海にいるのに 真っ白な肌、
そして 無表情。
この少しの時間で その人が
深く 深く 刻み込まれた。
