「…行くなよ」


どこか悲しそうにそう言って、私を抱きしめる力を強めた廣瀬くん。


……え?


なんでそんなに悲しそうに引き止めるの?


そんな廣瀬くんにドキドキしている変な自分もいる。


「バラすよ?そんなことしたら」


でも、やっぱり廣瀬くんは廣瀬くんで…。


さっきの悲しそうな声は嘘だったように
またいつもの廣瀬くんの意地悪な声に戻っていた。


な、何こいつ…!