「ど、鈍感じゃない!」


「あー、はいはい。
じゃあな鈍感莉未ちゃん」



憎たらしい笑みを浮かべて
背を向けて歩いて行く廣瀬くんを見つめる。



ねえ、廣瀬くん。


なんで、そんなに悲しそうな顔するの?



『お前のえがおひとりじめしたい』


『星野じゃなくて俺をみてほしい』


廣瀬くんの言葉が耳にこびりついて
離れない。


その日の夜はなかなか寝付けなかった。