「蒼ちょっときて。診るから」
「大丈夫だってば」
「……蒼。倒れたでしょ」
俺も倒れるなんていつぶりだろう。
「ほんと、大丈夫。」
そう言うと港の声が低くなって、
「蒼。」
と。
「わかったよ。季蛍…もう平気?」
「ん。」
いつのまにか泣き止んだ季蛍は俯いていた。
プルル… プルル…
季蛍の院内用携帯の音が響く。
「……はい
あ、はい、分かりました…行きます」
季蛍が電話を切ったので
「…呼び出し?」
と聞けば
「うん、急患…」
と返事が返ってきた。
赤くなって涙がたまった目を拭って、季蛍は服装を整えた。
「……手伝う?」
「大丈夫に決まってんじゃん。
それより蒼は…休んでて」
そういうと季蛍は診察室をでていった。


