港に、簡単に腕を捲られ、台にのせられる。
蒼くんが、注射器をもって、
こっちにくる。
港に、何かをまかれ、腕を締め付けられた。
「陽さん、こっちみない方がいいよ。」
蒼くんがそう言うと、港は、私の顔を、港の白衣のほうに向けた。
「陽、目閉じてろ」
目の前が、白衣で真っ白…
それに加え、目を閉じる。
港の、優しい香りに、余計泣きたくなる。
腕に痛みを感じた。
でも、叫ぶほどの痛みじゃなかった。
少ししたら、注射器が抜かれた気がする。
「陽さん、ごめんね」
蒼くんが、申しわけなさそうな声で、私に謝る。
痛みより、怖さで流した涙で、港の白衣をぬらしてしまった。
私が顔をあげれば、蒼くんが腕を、止血してくれていた。